卒業証書授与式 「校長告辞」
卒業証書授与式 「校長告辞」
昨日までの春の嵐がすっかりおさまり、卒業生の門出を祝うような温かい春の陽ざしが差し込んでいます。この宗像の地にも、ようやく春の訪れが感じられるようになりました。本日ここに東海大学付属福岡高等学校の第50回の卒業式を挙行できることは、誠に喜ばしいことでございます。また、校務ご多用の中にもかかわらず、ご臨席いただいております県議会議員の先生方、宗像市教育委員会・福津市教育委員会、そして中学校の校長先生をはじめ、多くのご来賓の皆様に、厚く御礼申し上げます。さて、今呼名されました277名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんの卒業を教職員一同、心より嬉しくかつ誇らしく思っております。また、保護者の皆様におかれましては、3年間本校の教育活動に対しまして、ご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。本日、お子様の卒業をお迎えし、感無量の思いだと拝察いたします。誠におめでとうございます。
思い起こせば3年前、皆さんが本校の門戸を叩かれたときには、本校は東海大学付属第五高等学校でした。皆さんが高校2年生に上がるときに、校名を東海大学付属福岡高等学校と変更となりました。いわば皆さんは、東海大五高校の最後の入学生であったわけです。校名変更から2年間、皆さんは新しい東海大学付属福岡高等学校という看板を背負って頑張ってくれました。日本一の挨拶・校内外の美化活動、皆さん一人ひとりの身だしなみ、そしてなによりさわやかな笑顔。そういった小さいひとつひとつの積み重ねが東海大福岡高校の新しいイメージ・伝統になったのだと思います。そのお陰で、この名が地域に定着し、東海大福岡高校としての新たな素晴らしいスタートを切ることができました。本当にありがとう。
部活動の活躍も大きな力となりました。野球部が32年ぶりに春の選抜甲子園に出場し、ベスト8となりました。昨年暮れには、男子駅伝チームが、強豪伝統校を破り、初優勝し、年末の京都都大路を初めて疾走してくれました。女子サッカー部も全国サッカー選手権大会に出場を果たし、堂々とした試合をし、後輩たちに大きな財産を残してくれました。また、個人では柔道・陸上・新体操でインターハイに出場してくれました。女子バスケット部も九州大会に出場し、活躍してくれました。いろんな部活動が、いろんなところで東海大福岡の看板と誇りを背負って、活躍してくれました。競技内容だけではなく、競技外での行動や立ち振る舞いも大変評価されています。まさに、皆さんが、周りに目配り気配りができる人に成長をしてくれたと思っています。
さて、今年度より私が校長となって、本校のスクールポリシーについて、何度か皆さんにお話をしました。覚えていますか。これからの人生においても大切なことだと思いますので、卒業にあたって、もう一度皆さんに伝えたいと思います。本校のスクールポリシーは、皆さんの「人間力を育てる」ことです。人間力というものを三つの力で説明しました。
人間力の一つ目は、豊かな人間性。それは、人の痛みを自分の痛みと感じられる温かい心です。皆さんは高校3年間で、辛いことやどうしようもない経験を積まれたと思います。人は、そういった苦しい辛い経験を乗り越えて、優しくなれるのだと思います。人間力のまず一つ目は、温かい心を中心とした豊かな人間性だと思います。
二つ目は、逞しい社会実践力であります。元気に明るく挨拶ができる。ハイって素直に返事ができる。周りに認められる言動がとれる。周りに気配り心配りができる人。そして周りに感謝の気持ちを伝えられる人。それが社会実践力です。
今週閉幕しましたピョンチャンオリンピックでは、たくさんの日本選手がメダルを獲得しました。そういった選手のインタビューでは、一様に、仲間への感謝、自分を支えてくれた人への感謝、応援してくれた人々への感謝、やはり、一流選手は一流の人間だなって、思いました。逆に考えると、一流の人間にならないと一流の選手にはなれないと強く感じました。
三つ目は、強い使命感です。人を幸せにするとか、苦しんでいる人を助けたいとか。社会の治安を守りたいとかの、強い使命感が大事です。私はあえて「気概」という言葉で表しています。気概とは、どんな困難にもくじけない心。ということです。
皆さんがこれから生きる社会は、AI人工知能やセルフレジなどのロボットが日常に加わる社会がもうすぐそこまで来ています。どうか、AIやロボットに負けないでください。どんな知能や利便性も超越する、人間力を持ってください。皆さんは、高校生活3年間でその人間力を培ってきたと思います。どうか、これからも、豊かな人間性を磨き、社会実践力を高め、そして、どんなことにもくじけない強い心、気概をもって、堂々たる人生を歩んでほしいと思います。
最後に、皆さんに伝えたいメッセージがあります。皆さんは「故郷に錦を飾る」という言葉をご存知ですか。将来、成功して、有名人になって、晴れがましい思いで故郷に帰るという意味です。よく、オリンピック選手や、何かに成功した有名人が、出身校に帰って、報告や講演をすることがあります。「母校に錦を飾る」などと、マスコミは報道しています。私はこの卒業生の中に、将来、大きな夢を叶えて、本校に戻って講演をしてくれるような人が、出てきてほしいと願っています。
でも、私が本当に願っていることは、「母校に心のよりどころ」を探しに戻ってきてほしいと思っています。皆さんが、将来、仕事に行き詰って疲れ果てたとき、人間関係で傷ついて悩んでしまったとき、大きな悲しみにうちひしがれたとき、どうしようもできないときこそ、母校に戻ってきてください。そして、自分が高校時代を過ごした校舎、体育館、グラウンド・校庭にきて、同じ空気を吸ってみてください。同じ景色を見てください。そして、高校時代の自分を思い出し、生きる力を充実させてください。前に歩む力を湧かせてください。きっと、母校はいつまでも皆さんの心の風景に刻まれているはずです。疲れ悩み、苦しみの中にいるときこそ、心の風景に刻まれている母校にきてください。空気を感じてください。景色をながめてください。きっと皆さんが心のよりどころを確認できて、そして一歩前に歩める力が得られるはずです。母校はそのためにあるものです。いつでも皆さんの心の風景のままでいますので、遠慮なく帰ってきてください。
これが、私が皆さんに最後に伝えたいメッセージです。
それでは、卒業生の皆さん、気概をもって堂々と前に歩んでください。皆さんの限りない前途を祝福して、私の告辞といたします。
2018年3月2日
東海大学付属福岡高等学校 校長 津山憲司