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東海大学福岡校長先生のブログ

卒業式 校長告辞

2022/03/01

卒業式 校長告辞

 本日ここに東海大学付属福岡高等学校第54回卒業式を挙行できることは、誠に喜ばしいことであり、また、コロナ禍の中、たくさんの皆さまにご参列していただきましたことに、心より感謝いたします。

 今、呼名されました383名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんの卒業を教職員一同、心より嬉しくかつ誇らしく思っております。保護者の皆様におかれましては、3年間本校の教育活動に対しまして、ご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございました。本日、お子様の卒業をお迎えし、感無量の思いだと拝察いたします。誠におめでとうございます。

 さて、ちょうど二年前、突如として、世界中にコロナ感染が拡大し、本校でも、休校措置をとったり、修学旅行や様々な行事が延期や中止となりました。休校中は課題やオンライン授業など、家で学習をする期間が長く続きました。多くの高校生が、辛い、苦しい、やるせない思いをしたことだと思います。そんな状況の中でも、皆さんはじっと歯を食いしばって我慢し、やれることを精一杯やり続けてくれました。

 この間、本校では、できるだけリアルな教育にこだわってきました。それは、皆さんがリアルな活動にこだわりをもってくれたからできたことでした。クラスマッチ、秋のスポーツフェスティバルやけやき祭、そして校外研修。3年生がみんなで楽しもうという雰囲気を自ら創り出してくれたお蔭で、大成功のイベントとなりました。まさに、できるときに、やれることを精一杯やろう。という気持ちが、ピンチをチャンスに変えてくれたと思います。

 

 ここで、皆さんに伝えたい二つのメッセージをお話したいと思います。 皆さんにとって、このコロナの状況での高校生活は辛いことや苦しいことも多かったと思います。努力しても報われないやるせなさもおそらく経験したでしょう。

 でもね、無駄な努力って、一つもないのですよ。

 

 ピンチはコロナだけではありません。昨日の校長メッセージでも話をしましたが、現在の世界情勢を考えてみてください。ロシアがウクライナに侵攻し、まさに戦争が起こっています。首都を攻められている状況ですが、ウクライナのゼレンスキー大統領は一歩も逃げずに、この最大のピンチに立ち向かっています。SNSで、「私はウクライナにいる。私はウクライナを守る」と国民にメッセージを投げ続けています。ウクライナだけではありません。民族や宗教などをめぐって、様々な国や地域で紛争や弾圧が行われています。我々には、何もできないかもしれませんが、そんな情勢を常に関心をもって、声を上げなければならないと思っています。

 このような不安定な世界情勢の中を、皆さんは進んでいかねばなりません。そして、皆さんの人生にも、いろんなことが起こるでしょう。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあります。大成功すること、また失敗に終わること。逆転勝利をおさめる、また逆転負けをする。素敵な恋に出逢うこと、哀しい辛い失恋をする。人生、うまく進むことに越したことはありません。でも、たとえうまく進まなかったとしても、努力したことは決して無駄にはなりません。むしろ、うまくいかなかったとき、失敗や逆転負けを味わったとき、そして大失恋したとき。そんなピンチのときにもがいてもがいてあがく経験こそ、あなたが成長するチャンスのときだと思ってください。きっと、あなたの心の芯が太くなり、メンタルが強くなれる、また、それがあなたの優しさの源流にもなるはずです。

 一つ目のメッセージは、ピンチの時に努力を惜しまずもがきあがくことこそ、人として成長するチャンスのときだということです。

 

 今、世界中でコロナ禍や紛争、また温暖化問題など、たくさんのピンチが起こっています。今まであたりまえだったことも、あたりまえでなくなってきています。そんなときだからこそ、あたりまえのことに、ごく日常の普通のことに感謝する気持ちを、どうか忘れないでください。本日の卒業式、こんなにたくさんの皆さんが一堂に集まっていただいていること。それは、卒業式としてはあたりまえのことかもしれません。だけど、昨今のコロナの影響を鑑みれば、私は、集まることができることに、大いに感謝の念を抱くところです。

 前にも話しましたよね。「あたりまえ」の反対語は何でしょうか。そうですね。「ありがとう」でしたよね。常に起こり得ることを「あたりまえ」と言います。だから、その反対のめったにないことには「ありがとう」という言葉になります。このコロナ禍では、逆に「ありがとう」と感じることが多かったのではないでしょうか。学校での生活、授業、部活動。毎日作ってくれたお弁当、友人との語らい、また寮生活。すべてのあたりまえの出来事に、感謝の気持ちを持てるようになったのではないでしょうか。

 これからも、皆さんの人生において、あたりまえのことに、「ありがとう」という感謝の気持ちを決して忘れないようにしてください。あたりまえのことに感謝の気持ちをもてる人は、きっと人生を豊かに生きていける人だと思います。

 私からの二つ目のメッセージは、「あたりまえ」のことに感謝することが、人生を豊かに生きるコツだということです。

 

 これからの世界や日本の社会情勢は、いろんなことが変わっていくでしょう。未だ日本社会として経験していないことも、今後起こってくるかもしれません。でも、決して負けないでください。ピンチなときほど、自分が成長できるチャンスだと思い、あたりまえのことに常に感謝できる豊かな人生を歩んでください。これが、私が皆さんに伝えたい最後のメッセージです。

 それでは、卒業生の皆さん、気概をもって堂々たる人生を歩んでください。皆さんの限りない前途を祝福して、私の告辞といたします。

 

2022年3月2日

東海大学付属福岡高等学校 校長 津山憲司

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