「高梨沙羅選手に、そして生徒の皆さんにエール」
「高梨沙羅選手に、そして生徒の皆さんにエール」
おはようございます。
オンライン授業、そして入試による自宅学習が重なって、約2週間ぶりの登校となりました。久しぶりに教室に入った感想はどうでしょうか。久しぶりに仲間とリアルで会った気持ちはどうでしょうか。オンラインではなく、リアルで担任の先生に会えた感想はどうでしょうか。オンラインは便利だけれど、やっぱりリアルな活動、人と人が同じ空気のなかで、話をすることって大事なことですね。
でも、また来週からオンライン授業が続きます。21日からの学年末試験は実施する予定ですが、それ以降もどのようになるかが、まだ見通しがたちません。
今年1月以降のコロナ第六波の本校での、昨日時点の感染状況をお伝えします。1年生が感染者7名・濃厚接触者45名、2年生感染者19名・濃厚接触者35名、
全生徒・教職員で感染者32名・濃厚接触者82名となっています。これからも、感染拡大防止対策に十分に留意して、過ごしてください。
さて、「ピンチこそチャンス」といつも言っています。こういったオンライン授業が続き、部活動ができない時期だからこそ、時間を有効に使い、自分自身をレベルアップさせる機会にしてください。学年末試験も近いです。思いっきり勉強に励んでください。また、読書は、心の栄養です。たくさん本を読んでください。そして、今、北京オリンピックが開催され、数々のドラマが生まれています。そんなスポーツのドラマにも大いに心を揺さぶられてください。
北京オリンピックのドラマで、私が強く揺さぶられたことを、ひとつ話させてください。それは、先日のジャンプ男女混合種目の高梨沙羅選手の失格問題です。スーツの幅が規定よ2センチ大きかったということでした。私は、「試合が終わってから抜き打ち検査をして失格にするなど、そんな馬鹿な競技があるか!」っと憤りを覚えました。ドーピング検査ならわかります。私もドーピング検査にかかわったことがありますが、検査に数時間以上かかります。そして、選手の体や命に係わる問題ですから、試合後の抜き打ち検査という方法は仕方がないと思います。しかし、どんな競技でも、体重が適正か、用具に不正や不備はないか、テーピングや装具なども適正か、などのチェックは試合の前にします。今回の場合も、事前にチェックして、未然に直させることができたはずです。見事な大ジャンプのあと、抜き打ち検査をして、失格はないでしょう。しかも、沙羅選手を含めて、5名の女子選手が同じように失格になったそうです。あきれはてました。
ですが、沙羅選手はすばらしかった。失格を言い渡された50分後、2回目のジャンプに挑み、98.5mという大ジャンプを見事飛びきりました。私は、大変な失意のなか、それでも仲間のために飛んだ見事なジャンプに感動を覚えました。
昨日、沙羅選手は、自身のインスタにコメントを載せました。私も全文読ませてもらいました。すべての人々への謝罪とメダルを奪ってしまった日本チームの仲間に対して自分を責める言葉、そして、それでも自分を支え続けてくれた仲間への感謝の念が綴っていました。その文面の中で、「今後の私の競技に関しては考える必要があります。」という言葉がありました。彼女は、ジャンプ選手を辞めることを考えているのだと思います。そこまで、今自分自身を追い込んでいるのだと思います。今の彼女は、自責の念、失望・絶望、そんな言葉では言い表せない状況だと思います。彼女のインスタの写真が一面真黒だったことがそれを物語っています。
でも、私はきっと立ち直ってくれると信じています。立ち直って、また歩み始めたとき、彼女は、今回の痛すぎる経験を、自分自身の強さ、たくましさにきっと変えてくれると思います。そして、さらに強くなって再びジャンプ台に立ってほしいと願っています。もしたとえ、選手を引退したとしても、彼女は今回の経験は、彼女をより強く、より逞しく、そしてより優しい人に成長させていくと信じています。
少し、高梨沙羅さんの話に熱が入りすぎたようです。
今日、皆さんに伝えたいメッセージは、人生に無駄な経験は一つもないということです。どんな失敗も失望も、どんな悔しさや苦しいことも、乗り越えていくことで、自分の強さ、逞しさ、そして優しさに変えられることができます。
皆さんも、今のコロナ禍で、悔しい思いやるせない思いをたくさん経験していると思います。それらはすべて、皆さんの強さ・逞しさ、そしてやさしさのバロメーターを上げる経験です。決して、あきらめずに前に進んでください。ピンチにこそチャンスがあるのです。そう思って、今のピンチを楽しんでください。今のピンチの時こそ、やるべきことをしっかりやってください。コロナ禍のなかでもできることはたくさんあるはずです。あなたがもっと成長するチャンスです。
最後になりますが、高梨沙羅選手と、生徒の皆さん一人ひとりにエールを送り、私のメッセージとします。がんばれ!