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東海大学福岡校長先生のブログ

卒業式 校長告辞

2021/03/02

卒業式 校長告辞

 

本日ここに東海大学付属福岡高等学校第53回卒業式を挙行できることは、誠に喜ばしいことであり、また、コロナ禍の中、たくさんの皆さまにご参列していただきましたことに、心より感謝いたします。今、呼名されました371名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんの卒業を教職員一同、心より嬉しくかつ誇らしく思っております。

保護者の皆様におかれましては、3年間本校の教育活動に対しまして、ご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございました。本日、お子様の卒業をお迎えし、感無量の思いだと拝察いたします。誠におめでとうございます。

 

さて、ちょうど一年前、日本国内でコロナ感染が拡大し始め、皆さんの修学旅行も残念ながら延期、その後中止となりました。全国的に学校が休校となり、休校中は課題や授業配信など家で学習をする期間が長く続きました。

学校が再開したあとも、コロナの影響でいろんなことが中止や縮小をしなければなりませんでした。部活動においても、インターハイや夏の甲子園大会、吹奏楽コンクールなどが中止となり、皆さんの目標が突然目の前からなくなってしまう状況となりました。多くの高校3年生が、辛い、苦しい、やるせない思いをしたことだと思います。

そんな状況の中でも、皆さんはじっと歯を食いしばって我慢し、やれることを精一杯やり続けてくれました。休校中の「こんな時こそ選手権」、多くの皆さんが応募してくれてました。たくさんの勇気や元気を共有できたと思います。学校再開後、初めて行えたクラスマッチ、秋のスポーツフェスティバルやけやき祭では、3年生がみんなで楽しもうという雰囲気を創り出してくれ、大成功だったと思います。

新たに始めたTFDやエールも、みんなで繋がろう・一緒にがんばろうという気持ちが伝わるものでした。これらのことは、コロナがなければ生まれなかったことかもしれません。まさにピンチをチャンスに変えてくれた皆さんであったと思います。

 

 ここで、皆さんに伝えたい二つのメッセージをお話したいと思います。

 皆さんにとって、このコロナの状況での高校3年生の一年間は、決して忘れることはないでしょう。辛いことや苦しいことも多かった。努力しても報われないやるせなさもおそらく経験したでしょう。でもね、無駄な努力って、一つもないのですよ。

これからの皆さんの人生には、いろんなことが起こります。うまくいくこともあれば、うまくいかないこともあります。大成功すること、また失敗に終わること。逆転勝利をおさめること、また逆転負けをすること。素敵な恋に出逢うこと、哀しい辛い失恋をすること。

人生、うまく進むことに越したことはありません。でも、たとえうまく進まなかったとしても、努力したことは決して無駄にはなりません。むしろ、うまくいかなかったとき、失敗や逆転負けを味わったとき、そして大失恋したとき。そんなピンチのときにもがいてもがいてあがく経験こそ、あなたが成長するチャンスのときだと思ってください。

きっと、あなたの心の芯が太くなり、メンタルが強くなれる、また、それがあなたの人に対する優しさの源流にもなるはずです。まさしく、ピンチはチャンスです。

一つ目のメッセージは、ピンチの時に努力を惜しまずもがきあがくことこそ、人として成長するチャンスのときだということです。

 

二つ目は、この一年、世界中でピンチが起こっています。あたりまえの日常が崩れ、今まであたりまえだったことが、あたりまえでない出来事が多くなりました。たとえば、友人と食事をしながら楽しくおしゃべりをする。そんなあたりまえの一場面が、今では自粛せざるをえません。でもきっと、近いうちに、大勢で会話をしながら楽しく食事ができることが、またあたりまえになる時期がくるでしょう。そのときに、そんなあたりまえにことに感謝できるでしょうか。

本日の卒業式、こんなにたくさんの皆さんが一堂に集まっていただいていること。それは、卒業式としてはあたりまえのことかもしれません。だけど、今回のコロナの影響を鑑みれば、私は、集まることができることに、大いに感謝の念を抱くところです。

前にも話しましたよね。「あたりまえ」の反対語は何でしょうか。そうですね。「ありがとう」でしたよね。常に起こり得ることを「あたりまえ」と言います。だから、その反対のめったにないことには「ありがとう」という言葉になります。

この一年のめったにないコロナ禍では、「ありがとう」が多かったと思います。この一年を過ごした我々だからこそ、常に起こる「あたりまえ」のことに対しても、「ありがとう」の感謝の気持ちを持てるようになったのではないでしょうか。学校での生活、授業、部活動。毎日作ってくれたお弁当、友人との語らい、また寮生活。すべてのあたりまえの出来事に、感謝の気持ちを持てるようになったのではないでしょうか。

これからも、皆さんの人生において、あたりまえのことに、「ありがとう」という感謝の気持ちを決して忘れないようにしてください。あたりまえのことに感謝の気持ちをもてる人は、きっと人生を豊かに生きていける人だと思います。

私からの二つ目のメッセージは、「あたりまえ」のことに感謝することが、人生を豊かに生きるコツだということです。

 

これからの世界情勢や日本の社会情勢は、いろんなことが変わっていくでしょう。未だ日本社会として経験していないことも、今後起こってくるかもしれません。でも、決して負けないでください。ピンチなときほど、自分が成長できるチャンスだと思い、あたりまえのことに常に感謝できる豊かな人生を歩んでください。これが、私が皆さんに伝えたい最後のメッセージです。

それでは、卒業生の皆さん、気概をもって堂々たる人生を歩んでください。皆さんの限りない前途を祝福して、私の告辞といたします。

 

2021年3月2日

 東海大学付属福岡高等学校 校長 津山憲司

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