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東海大学福岡校長先生のブログ

2018年度 卒業証書授与式 校長告辞

2019/03/08

2018年度 卒業証書授与式 校長告辞

 

卒業生の門出を祝うような温かい春の陽ざしが差し込んでいます。この宗像の地にも、ようやく春の訪れが感じられるようになりました。本日ここに東海大学付属福岡高等学校の第51回の卒業式を挙行できることは、誠に喜ばしいことでございます。

また、校務ご多用の中にもかかわらず、ご臨席いただいております県議会議員吉武邦彦様、宗像市教育委員会より阿部様・福津市教育員会より柴田様、そして中学校の校長先生、地域コミュニティ会長様をはじめ、多くのご来賓の皆様に、厚く御礼申し上げます。

さて、今呼名されました304名の卒業生の皆さん、ご卒業おめでとうございます。皆さんの卒業を教職員一同、心より嬉しくかつ誇らしく思っております。また、保護者の皆様におかれましては、3年間本校の教育活動に対しまして、ご理解とご協力を賜り、誠にありがとうございます。本日、お子様の卒業をお迎えし、感無量の思いだと拝察いたします。誠におめでとうございます。

 

思い起こせば3年前、皆さんが本校の門戸を叩かれたときには、本校は東海大学付属第五高等学校から、東海大学付属福岡高等学校と校名変更した年でありました。いわば皆さんは、東海大福岡高校の最初の入学生であったわけです。皆さんはこの3年間新しい東海大福岡高校という看板を背負って頑張ってくれました。日本一の挨拶・校内外の美化活動、皆さん一人ひとりの身だしなみ、そしてなによりさわやかな笑顔。そういった小さいひとつひとつの積み重ねが東海大福岡高校の新しいイメージ・伝統になったのだと思います。そのお陰で、東海大福岡高校の名が地域に定着することができました。部活動の活躍も大きな力となりました。皆さんが1年生の時には野球部が32年ぶりに春の選抜甲子園に出場し、ベスト8となりました。また、2年生の時には、男子駅伝チームが、強豪伝統校を破り、初優勝し、年末の京都都大路を初めて疾走してくれました。3年生になって女子バスケット部と女子サッカー部がインターハイに出場、個人でも柔道・陸上でインターハイに出場してくれました。また、文化系クラブでも吹奏楽部が創部以来初めて九州コンクールに出場し、すばらしい演奏を奏でてくれました。そして、今年になって女子サッカー部が全日本選手権大会3位という輝かしい歴史を作ってくれました。その栄光は、様々な部活動、いやチーム東海福岡全員に大きな自信と勇気をあたえてくれました。いろんな部活動が、いろんなところで東海大福岡の看板と誇りを背負って、活躍してくれました。競技内容だけではなく、競技外での行動や立ち居振る舞いも大変評価されています。まさに、皆さんが、周りに目配り気配り心配りができる人に成長をしてくれたと思っています。

 

さて、皆さんが今日、本校を巣立ち、羽ばたいてむかう社会は、どんな社会でしょうか。AI人工知能やセルフレジなどのロボットが日常に加わる社会がもうすぐそこまで来ています。どうか、AIやロボットに負けないでください。どんな知能や利便性も超越する、人間力で勝負してください。本校のスクールポリシーは、「人間力を育てる」ことです。皆さんは、高校生活3年間でその人間力を培ってきたと思います。どうか、これからも、豊かな人間性を磨き、社会実践力を高め、そして、どんなことにもくじけない強い心、気概をもって、堂々たる人生を歩んでほしいと願っています。

 

つい先日、最後の現代文明論として、皆さんにお話しをしたこと、覚えていますか。若き日にで始まる四つの言葉の通り、皆さんのこれからの長い人生において、若いときの経験や人との関わりのなかで培ったこと、養ったこと、磨き上げたことが、自らの生き方や人生観の根本となり、人生の拠り所となるのですよ。という話でした。皆さんは、これからの人生において、いろんな競争に巻き込まれることがあると思います。また、いろんな挑戦をしていくことになると思います。うまくいくこともあれば、うまくいかないことも多いでしょう。勝つこともあれば、負けることも多くあります。それが人生を生きていくということだと思います。そんな人生の中で、決して忘れないでほしいことがあります。それは、常にひとと共に生きているという人生観・生き様の根本です。人を制圧するのではなく、人と共に生きるという温かい人間性を、どうか生き様の中心においてください。人とともに生きるという温かい人間性は、必ずや人のために尽くせる生き方につながると思っています。どんな勉強も、どんなスポーツも、そしてどんな仕事も、すべて人を幸せにするためにあるということを、決して忘れないでください。

皆さんのこれからの人生において、誰かを幸せにするために生きる。誰かの役に立つために生きる。誰かを救うために生きる生き様をどうか貫いてください。そして、人の幸せのために尽くせることこそが、自分自身の幸せと感じられる人になってください。

 

最後に、皆さんに伝えたいメッセージがあります。皆さんは「故郷に錦を飾る」という言葉をご存知ですか。将来、成功して、有名人になって、晴れがましい思いで故郷に帰るという意味です。よく、オリンピック選手や、何かに成功した有名人が、出身校に帰って、報告会や講演会を開くことがあります。「母校に錦を飾る」などと、マスコミは報道しています。私はこの卒業生の中に、将来、大きな夢を叶えて、本校に戻って講演をしてくれるような人が、出てきてほしいと願っています。でも、私が本当に願っていることは、「母校に心のよりどころ」を求めに戻ってきてほしいと思っています。皆さんが、将来、仕事に行き詰って疲れ果てたとき、人間関係で傷ついて悩んでしまったとき、大きな悲しみにうちひしがれたとき、どうしようもできないときこそ、母校に戻ってきてください。母校とは、いつまでも皆さんの心の風景に刻みこまれているはずです。自分が高校時代を過ごした校舎、体育館、グラウンド、校庭にきて、その時と同じ空気を吸ってみてください。同じ景色を見てください。きっと、高校時代の自分自身を思い出し、生きる力、前に歩む力が湧いてくることでしょう。疲れ悩み、苦しみの中にいるときこそ、心の風景に刻まれている母校にきて、空気を感じてください。景色をながめてください。きっと皆さんは心のよりどころを確認できて、そして一歩前に歩める力が得られるはずです。母校はそのためにあるものです。いつでも皆さんの心の風景のままでいますので、遠慮なく帰ってきてください。これが、私が皆さんに最後に伝えたいメッセージです。

 

それでは、卒業生の皆さん、気概をもって堂々たる人生を歩んでください。皆さんの限りない前途を祝福して、私の告辞といたします。

 

2019年3月2日

 東海大学付属福岡高等学校 校長 津山憲司

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